空中散歩

16.水面下



 翌週の月曜日。
 授業を終えて、帰り支度を済ませた園加に、「成海、帰ろー」 と誘われたが、成海は小さく首を横に振った。
「ごめん、先に帰ってくれる? 私、ちょっと残らないといけなくて」
 そう言うと、園加は訝しげに眉を寄せた。
「なに? なんか用事でもあんの?」
「先生に言われたの」
「上田に?」
 途端にイヤそうな顔になった。この友人は、もとからあの担任のことを好きではなかったようなのだが、ここにきて、その信頼度は暴落もいいところの急下降を辿っているらしい。成海のことがなければ、ここまでの変化はなかっただろうにと思うと、どちらに対しても申し訳ないような気分になる。
「話があるから、残ってろって?」
「うん」
「放っときなよ。いずれろくでもない話に決まってる。成海のことをいつも無視してんのはあっちなんだから、成海だってあいつのことを無視してやりゃいいのよ」
「そういうわけにはいかないよ」
 けっ、と簡単に鼻先であしらう園加には少し笑ってしまったが、まさかその意見に肯うわけにもいかない。進路については、成海にしろ上田にしろ、いつまでも避けては通れない道なのだ。話を、とあちらから言い出してきたこの機会を無視したら、それこそ修復不可能なくらいにこじれてしまう。
「だってまた言いたい放題言われるじゃん!」
「私も、ちゃんと自分の思っていることは言うつもりだよ」
「上田のやつ、どうせ聞く耳なんか持ってないって、絶対。また自分の身勝手な考えだけを押しつけて、成海を困らせるんでしょ! むかつくわ!」
「まあまあ園ちゃん、とにかく先に帰って。ね?」
 きいきいと怒り続ける園加を宥めて、やんわり背中を押しながら、成海もこっそり小さな息を吐きだした。
 私もなんとなく、そんな気がするんだけどね……


 結果から言うと、園加と成海のその予想は当たっていた。
 教室で、成海が大人しく一人で待っていると、ガラリと戸を開けて、落ち着きなくせかせかとした足取りで近寄ってきた上田は、
「天野、今週の末までに、保護者を連れてきてくれ」
 と、きっぱりした口調で有無を言わせず言い渡したのだ。
「保──」
 戸惑ったのは成海だ。突発的に記憶喪失にでもなったか、成海が抱える厄介事を 「なかったこと」 にしたいと望むあまり、本当に彼の頭の中ではそうなってしまったのか、と不安になったほどだった。
「先生、保護者って」
「だから、お兄さんの代わりだ。お前だけ遅れてしまったが、三者面談をして卒業後の進路について話をする。そういうことが出来る成人の誰かを連れてきなさい。日時はなるべくそっちに合わせて都合するから」
 一方的に続けられて唖然とした。話が噛み合わないどころではない。これではまるで、成海ではなく、実在しない架空の人物に向かって話しているみたいではないか。しかも、今週末までという期限も、あまりに性急だ。
「先生、今の私に、保護者と呼べる人はいません」
 それでも、出来る限り冷静に、辛抱強く返事をした。
 上田の眉がぴくりと動いて、以前ならそんな些細なことでさえ心臓が縮みそうだったが、とりあえず銀行での交渉事をクリアした現在の成海は、少し余裕を持っていられる。晃星のように楽しむところまでは無理だけれど、こういう時、オドオドした態度をとったらその時点であちらのペースだ、ということくらいは経験として判ったからかもしれない。
「誰か一人くらいいるだろ。前に話したバイト先の店長とか。ちゃんと頼んでみたのか。この際、誰でもいいんだ」
 誰でもいい、なんてことがあるものか。
「以前も言いましたけど、バイト先の店長は、ただ兄の先輩というだけで、こんなことを頼める筋の人じゃありません。他の人だってそうです」
「じゃあ、どうするっていうんだ」
 上田の声が鋭くなった。訊ねるというよりは、詰問という調子に近くなる。
 どうするって?
 そうだ、成海はまず最初に、そこを明確にしなければならなかったのだ。
 相手が自分のことをただの子供だとしか認識していなくても、こちらの言うべきことは、ちゃんと言わなければ伝わらない。

「私と話してください」

「なに?」
 成海の言葉に、目の前の担任の眉が、盛大に中央に寄った。聞き取れなかったのではなく、言っていることが理解できない、という意味を大いに含んだ反問だった。晃星ならきっとこういう時、散々揶揄して面白がるんだろうな、と思えば、いちいち露骨なその態度にもさほど動じないでいられる。痛む心は、今はとりあえず、蓋をしておこう。
 まっすぐ担任の顔を見返す。
「私に保護者はいません。この先の進路は、私一人で考えて決めるべき問題です。ですから、三者面談ではなく、私と二人で話し合いをお願いします」
「そんなことは出来ないだろう」
「どうして出来ないんですか? 私はまだ高校生かもしれませんけど、なんの判断もできないほどには幼くありません。進学ではなく、就職したいと思っている、という希望も自分で決めたことですし、先生にもそう伝えました。だったらこれから詰めていくのは、その就職先をどうするかっていうことで……」
「そうだろ、だからそれを決めるのに、誰が責任者になるか、っていうことが重要になってくるんじゃないか。就職するのにも、天野一人じゃどうしようもない。ちゃんとした身元引受人が必要になるんだから」
「私にそういう人はいません。自分の責任は、自分でとります」
 成海はゆっくり繰り返した。しかし、こちらが落ち着いた声を出そうとすればするほど、反比例的に、上田の苛つきは増大していくようだった。こちらに向けられる目は、完全に 「教師にたてつく反抗的な生徒」 に対するそれになっている。
「いない、という前提で、話をしたいんです。就職先も、こちらの事情をすべて話して、それで納得してもらえるところを探したいと思います。それでも駄目なら──」
 駄目なら、卒業後はアルバイトを掛け持ちしてなんとか生計を立てます、と言い終わる前に、バン、と思いきり机を平手で叩く音に遮られた。
「生意気言うんじゃない!」
 大声で怒鳴られて、びくりと身が竦む。
 上田は、眼鏡の奥の目でこちらを強く睨みながら、きつい形相をしていた。いつもは、どちらかというと覇気のない、感情の起伏の少ない担任が、こんな風に激しく声を張り上げるところをはじめて見た。
 バン、バン、と続けて二回机を叩く音が、誰もいない静かな教室内に響き渡る。成海は唇を引き結び、その音の威圧にじっと耐えた。床についた足が小刻みに震えている。
「世の中のことを何も知らない高校生が、何を偉そうなことを言ってる。ちょっとばかりバイト経験があるからって、そんなものは社会に出たところで何の役にも立たないんだぞ。ただの遊びと一緒だ。それだけでお前一人でなんでも出来るなんて、思い上がりもいい加減にしろ!」
「…………」
 思い上がったことなんて考えていない。ましてや、成海一人でなんでも出来るなんて、思ったこともない。誠がいなくなってから、一人取り残された成海はただ途方に暮れるばかりで、自分の無力さを痛感させられるばかりだった。
「とにかく、誰か大人を連れてこい。話はそれからだ。いないというのなら、死に物狂いで探すしかないだろう。それくらいの努力もしないで、一人前の顔をしてものを言うな。いいな?」
 上田はそう言い放つと、成海の返事も聞かずに、入ってきた時と同じせかせかとした足取りで、教室を出ていった。
 勢いよく戸が閉じられる音を聞きながら、成海はぐっと唇を噛みしめる。
 ……そんなに、何もかもがあっさり上手くいくわけがない。
 それは判っていても、目から零れ落ちる涙は止められなかった。


 のろのろと自分も教室を出て、下駄箱に行くと、園加が待っていた。
「園ちゃん、待っててくれたんだ? ありがとう」
 笑って礼を言ったが、園加は難しい顔つきで腕を組み、こちらをじろじろと上から下まで観察している。
 涙は綺麗に拭いたし、跡だって残っていないはずだから大丈夫だとは思うのだが、成海は笑みを浮かべながらドキドキした。
「……で、どうだったのよ」
「うーん」
 厳しく問い詰められて、曖昧に首を傾げる。あったことを全部話したら、その時こそこの友人は、職員室にまで突撃していって、担任の背に強烈な蹴りをお見舞いするだろう。それが容易に想像できるだけに、どこからどこまでを言っていいものか迷う。
「その、やっぱり、私の言い分はあんまり納得してもらえなかったというか……」
 ローファーに替えながらごにょごにょと言うと、ふん、と園加が鼻息を荒くした。
「聞く耳持たなかったってわけね」
 うん、そうだね……
「だからあのアホの相手をするだけ時間の無駄だっつーのよ。こうなったら、アレはすっ飛ばして、進路指導の担当と直接話したほうがいいんじゃないの?」
「うーん、それはちょっと」
 さっきの上田の様子を見るに、そういうことをすると、非常にマズイことになりそうな予感がする。それに加えて、進路指導の担当教諭というのが、こちらは上田とまったく正反対で、かなりの熱血教師タイプなのだ。そういう相手に現在の状況を説明すると、過剰に大騒ぎされて、今よりもさらに困った事態になる可能性がある。
「……まあ、なんとか、頑張ってみるよ」
 我ながらちょっとばかり弱々しい微笑みを浮かべて、成海は腕組みして突っ立ったままの園加を促し、昇降口を出た。
 とにかく、誰でもいいから大人を連れて来い、という担任の要求には、どうしたって従えない。怒鳴られようがキレられようが、反抗的だと捉えられようが、成海は精一杯、踏ん張るしかない。
 先ほどの上田の剣幕を思い出し、これからの展望の暗さに、少し眩暈がしそうになった。つい、ふうと溜め息をついてしまう。
 隣を歩く園加は、むっつりと無言のままだった。


          ***


 その夜、最後の客が帰ってから、店の入口の鍵を閉めようと思ったら、征司に止められた。
「成海ちゃん、これから人が来る予定なんだ。クローズの札だけ出して、そこ、開けたままにしておいてくれるかな」
「あ、はい」
 返事をして、すぐにピンときた。笙子が来るのだろう。
「えーっと……」
 だったらさっさと姿を消すべきか、それとも笙子に挨拶くらいはしていくべきか。もじもじしていると、征司ににこりとした微笑を向けられた。
「もうあがっていいよ。お疲れさま」
 ですよね、やっぱりおジャマですよね!
「じゃあ、お先に失礼します。お疲れさまでした、店長」
「うん」
 ぺこんと頭を下げて挨拶をすると、征司が目を細めて頷いた。
 常陸さん、なんだか嬉しそう。それはそうか、これから恋人と会うんだもんね。いつもお店で常陸さんに何かと話しかけてはきゃあきゃあと喜ぶお客さんたちは、彼に綺麗な恋人がいるということを、ぜんぜん知らないんだろうなあ。その存在を知っているのは、意外とごくごく限られた人間だけなのかもしれない。
 そう思いながら、着替えるために、「staff only」 という白いプレートの貼られたドアを開けて、中に入る。
 パタン、とそれを閉めた瞬間、唐突に、ある考えが閃いた。
 ──ひょっとして。
 誠ちゃんにも、そういう恋人がいたんじゃないのかな?


 兄にそういう存在があったとは、成海は聞いたことがない。晃星や征司を含め、兄の友人や会社の同僚の人たちからも、そんな話は誰の口にものぼらなかった。だから成海も、てっきり兄はそういう色恋とは無縁の生活を送っていたものと思い込んでいたのだけれど。
 ……でも、本当にそうだったのだろうか。
 もしかしたら、兄には誰にも秘密の恋人というのがいたのかもしれない。そして真面目に結婚を考えていたのかもしれない。夢、というのは、その人との新しい生活のことだったのかも。
 ──それなら、確かに、成海という存在は、兄にとっての厄介な荷物であっただろう、と合点がいく。
 そのことが失踪の理由と関わっているのかどうなのかは判らない。けれど誠の側に、成海に言わなかった何かがあった、ということだけは紛れもない事実なのだ。
 そんなことを延々と考えながら電車に乗って、アパートに帰り、ドアを開けた。
 真っ暗な部屋の電気を点け、まっすぐ仏壇へと向かう。ぺたりと座り込んで、「ただいま」 と力なく笑った。
 それから、隣の誠人形に目を移した。
「ね、誠ちゃん、もしかして、好きな女の人がいた?」
 話しかけても、答えは返ってこない。誠人形はいつも通りにニコニコしているだけだ。
「教えてくれればよかったのに。それだけじゃなくて、なんでも……どんなことでも。小さなことでも、大きなことでも、嬉しかったこと、悔しかったこと、悲しかったこと、どんなにつまらないようなことだって」
 十代の成海が、社会人の誠の苦労話など聞かされたところで、理解できたとは思えない。共感だってできるわけがない。誠が悩み事を抱えていたとしたって、それに対する有効な助言など、成海は何ひとつできはしないだろう。
 でも、それでも、聞きたかった。話してほしかった。
 もしも誠に、好きな女性との結婚を考えていると言われたら、成海はどういう反応をしただろう。ヤキモチを焼いただろうか。お姉さんが出来ると喜んだだろうか。どんな人なのとしつこく問い詰めて、誠を閉口させたりしただろうか。
 手を伸ばし、誠人形を引き寄せた。
 ぎゅっと抱きしめ、着せてある背広に鼻を埋める。誠がいなくなってすぐの頃には、まだ本人の匂いが残っていたのに、それはもうすっかり消えて、この部屋の寒々とした空気と同化してしまっている。
 そこに、温もりはない。
「……誠ちゃん、私が邪魔だった?」
 そんなことはない、と晃星は断言してくれたけど。
 でも、誠には、成海よりも、もっと大事な人がいたのかもしれないのだ。
 誰だって、結婚しようと思う相手に、大きなコブがいきなりくっついていたら、躊躇するに決まっている。二人だけで新生活を始めたい、と思うのは、当然の希望なのではないか。それが無理なら別れよう、なんて話にだって移行するかもしれないほどの。
 それで、誠は困っていたのだろうか。
 だったら、言ってくれればよかったのに。成海と誰かの板挟みになって苦しむことなんてなかった。厄介な荷物はさっさと放り出して、自分の明るい未来をいちばんに考えてくれれば、それでよかった。
 ──誠が幸せになってくれるのなら、それでよかった。
 誠人形を抱いたまま、上半身を折り曲げる。床にごつんとおでこをぶつけるまで頭を垂れて、胎児のように丸くなった。腕の中の枕がぺしゃんこに潰れてしまうまで、小さく、小さく。
 このまま消えてしまえたら、どんなに楽だろうと思った。


 しんとした部屋に、突然、軽快な着信音が響いた。
 びくっとして起き上がり、すぐそばにある鞄を引き寄せる。携帯を取り出し、発信者名を見て、ぐいぐいと乱暴に拳で顔を拭った。大きく深呼吸をしてから、小さな機械を耳に当てる。
「はい」
 大丈夫だ、ちゃんといつもと同じ声が出せている。笑っていよう。たとえ表情までは見えなくても、情けない顔をしていたら、それが外に漏れてしまうかもしれないから。
「あっ、なるちゃん? 俺だけど」
「はあ、あの有名な詐欺の……」
「そんなわけないでしょ! つーか、なるちゃんの古くさいガラケーでだって、名前くらいはちゃんと表示されるでしょ!」
 間髪入れず、晃星のツッコミが入る。さっきまでの無理やりなものではなく、今度は本当に、笑いが浮かんだ。
「失礼ですよ、晃星くん。古くさいって」
「どっちが失礼だって? なるちゃん、今はもう家?」
「はい。晃星くんは、外ですか?」
 電波を通じて、少しザワザワとした雰囲気が伝わってくる。そういえば、昨日電話があった時、「またちょっとしばらく出かける」 と言っていたっけ。
「うん、まあ」
 言葉少なに言って、晃星はすぐに話題を変えた。
「そっちは? 何も変わったことない?」
「はい、ないです」
「──……」
 携帯の向こうで、一瞬沈黙があった。
「……なるちゃん」
「はい」
「何かあった?」
「ないです」
 どうやら、成海の返事は、ちょっと素早すぎたらしい。ここは、どうしてですか? と笑って訊くべきだった、と思いついたが、手遅れだ。
「──何があったの?」
 今までの陽気な空気が消え失せて、声の調子も変わった。顔が見えなくてよかった、と背中にひんやりしたものを感じながら、内心で思う。今、あのちょっと薄ら寒い笑みを浮かべているのが見えたら、多分かなり怖い。
「なにもないですってば」
「…………」
 晃星はまたしばらく黙り込み、こちらにまで聞こえるような、ふーっという大きな溜め息を落とした。
「なるちゃん」
「はい」
「俺はね、最近、少し判ってきたよ」
「何をですか?」
「素直で、朗らかで、頑張り屋で、生真面目で、ちょっと頑固で、時々無防備。そういう、外に出ている 『君』 は、君のすべてでは、ないんだね」
「…………」
「それが少し、わかった」
 おやすみ、と最後に囁くように言って、電話は切れた。


          ***


 バイトが休みの水曜日、成海は朝から気合いが入っていた。
 今日は時間があることだし、もう一度担任と話をしよう、と思ったのである。正直、前回の成り行きを考えると気が滅入るが、いつまでもそんなことを言ってはいられない。
 どうしても保護者抜きで進路の話し合いは出来ない、就職の世話だって出来ない、ということなら、もういっそ在学中に就職先を探す道は諦めたほうがいいのかもしれない。月曜日のことで、成海はそこまで覚悟を決めはじめていた。卒業してから自分で探すか、本当にバイトだけでなんとかする方法を模索するか。けれどそれならそれで、やっぱりその旨をちゃんと伝えておいたほうがいいだろう。
 どう話すかを悶々と考え続けて、その日の授業はほとんど耳に入らなかった。園加にいろいろと話しかけられても、半分以上は上の空だ。成海は、複数のことをいっぺんにこなす器用さは持ち合わせていない。
 が。
 終業後、ホームルームを終えて出ていこうとする担任を呼び止め、先日の話の続きをしたいんですけど、と切り出そうとしたら、相手から逆に、「今日だぞ、判ってるな?」 と確認された。
「は……?」
 どうして思考が先回りされているのかさっぱり判らずぽかんとしていると、上田はやはり一方的に、
「四時半だから、ちゃんと教室にいるように。いいな?」
 とだけ言うと、すたすたと職員室へと向かってしまう。成海は混乱した。あれ、私、今日また話をするって、無意識のうちに口にでも出してたっけ?
 しかし、どちらにしろ時間を取ってもらえるのなら、成海にも否はない。どこか釈然としない気分で、教室に残って担任が戻ってくるのを待った。
 四時半まであと五分、という時になって、ガラッと教室の戸が開いた。そちらに顔を向けて、成海は目を見開いた。
 入ってきたのは、担任ではない。
「やあ、成海ちゃん。待たせたね」
 ──そこには、そう言って微笑む征司の姿があった。



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