リライト・ライト・ラスト・トライ

第三章

1.守るもの



 異世界からやって来た神獣の守護人は、神獣に目通りし、カイラック王に謁見して、次々と立て続けに行われる儀式や式典を、毎日淡々とこなしている。


「──お前はどう思う、アレ」
 先輩護衛官であるハリスさんからのその問いは、かなり唐突なものであったにも関わらず、俺は彼が言わんとしていることを、すぐに理解した。
 理解したからこそ、さりげなく周囲を見回してから、こっそりと抑えた声で言い返す。
「……他の誰かに聞かれたらどうするんですか、ハリスさん。いや他の誰かに聞かれるのはまだしも、ロウガさんの耳に届いたら」
 睨まれるだけじゃ済まないぞ、と警告を込めて言葉を切ると、ハリスさんはふんと鼻先であしらった。
「あの人はいねえよ。だから聞いてるんじゃねえか」
「だからってねえ……」
 苦々しくため息をつきながら、再びちらっと周りに視線をやる。
 夜更けの食堂では、俺たちばかりではなく、他に数人の護衛官たちがたむろして雑談に興じている。護衛官の詰所はガサツで雑駁な男所帯のため、がはははと下品に大笑いする声が響いてやかましい。あとは寝台しかない狭い部屋で他の男たちのイビキを聞きながら眠るだけ、というこの時間、束の間の休息とばかり、みんな自分の楽しみに夢中なのだろう。こちらに目を向ける人間さえいなかった。
 そうか、ロウガさんがいないから、杯を傾けながら赤い顔をしているのまでがいるんだな。本当はこの建物内は酒類禁止だから、真面目なロウガさんに見つかると即没収される。ちっとも顔には出ていないが、ハリスさんがさっきから飲んでいるのも、たぶん酒だ。まったくこの人は……と軽く頭を押さえた。
「守護人をアレ呼ばわりって」
「バカ、お前こそその名前を迂闊に口に出すんじゃねえ。せっかく俺が気を遣って 『アレ』 にしてるのに、意味がなくなるだろ」
「気を遣ってるなら、そもそもそんな話題を俺に振らないでください」
「で、お前はどう思う、アレ」
 ハリスさんは俺の文句にこれっぽっちも耳を貸してくれなかった。もう、と唇を尖らせ、しょうがないので目の前の卓に肘を突き、目線を上げて、少し考える。
「なんか……変わってますよね、いろんな意味で」
 いや、変わっているのは当然なのかもしれない。なにしろ、異なる世界からやって来た人間なのだ。こちらとは常識や価値観に大きな違いがあったって、まったく不思議じゃない。

 しかし──何か。
 はっきり口には出せないけれど、シイナとだけ名乗ったあの少女は、何かが、ひどく変わっている、ような気がする。

「変わってるっていうか、ちょっと得体の知れない感じがすると思わないか」
 仮にも神獣の守護人に対して、「得体が知れない」 という表現はどうかと思うものの、きっぱり反論することも出来ず、俺は口を噤んだ。
 ハリスさんは、自分が手にしている杯に目を向けている。そこに入っているのは間違いなく酒であるはずなのに、卓の上に置かれた小さなランプが浮かび上がらせるその顔は、ちっとも酔いを感じさせない醒めたものだった。
「なんつーか、何もかも見通すような目をしてるっていうか、さ」
「……うーん」
 ぼそりと落とされた言葉に、曖昧に返す。
 今頃はあの少女も、主殿にある守護人のための広い私室で、眠りに入っているのだろう。就寝時間は俺らの護衛はなくなるが、部屋の前に屈強な警護が寝ずの番で立つ。大きな寝台の上で、安心してすやすやと寝息を立てているのかな──と思ってみたが、その想像は、あまり上手くいかなかった。

 まったく感情の動きを見せない、神獣の守護人。

 口を開くのも最小限。その言葉だって、まるで決められた台詞を読んでいるかのように一本調子のことがある。彼女にとっては見知らぬ異世界で、いきなり与えられた守護人という立場に、欠片も驚きを見せなかった。大神官に言われるがまま動き、反発もしなければ嫌がる素振りもしない。
 人形のようなあの少女を思い浮かべると、普通の人間と同じように睡眠をとるというよりは、目を開けたままぴたりと動きを止めているような情景のほうが、しっくり来るような気がする。
 夜の闇みたいなその真っ黒の瞳は、決して、彼女が何を考えているのかを、相手に伝えることはない。小さな唇だって、笑い声でも洩らしたらどんなに愛らしいだろうと思うのに、それは常に、静かで落ち着いた声以外のものを紡ぐことはなかった。
 この数日ずっと付きっきりで彼女の護衛をしていた俺にとってさえ、神獣の守護人は、最初にあの扉を開けた時から何も変わらない、未知の生物のままだ。
「……まあ、ちょっと怖いなと思うことはあります」
 正直に零すと、ハリスさんが思い出したようにくくっと笑った。
「あの現れの間で、お前のことじっと見てたもんなあ」
「たまたまですよ」
 現れの間で、扉を開けて姿を見せた少女が、真っ先に俺に視線を向けたのは、もちろん偶然に決まっている。顔と目線のその先に、たまたま、護衛として立っていた俺がいただけ。それ以外の理由なんて思いもつかない。
 しばらくその視線が動かなかったから、俺も少し動揺してしまったけど。

 ──その瞳にはやっぱり、なんの感情も込められてはいなかったのだから。

 何もかも見通しているような目、とハリスさんは表現したが、俺はむしろ、あれは、何もかもを弾く目だな、と思っている。
 自分を見せない、立ち入らせない。自らに向かってくるあらゆるものを跳ね返すような──強さ。
 その強さは、鋭く、決して揺らがず、恐ろしいまでに頑なで、けれど妙に痛々しくもあり、それが、「怖い」 という印象に繋がるのかもしれない。
 でもさ。

「……でも、守護人って、そういうものなのかもしれないじゃないですか」

 俺がどう思ったところで、何かが変わるわけでもない。神獣の守護人に、一介の護衛官が個人的な関わりを持つことなんて、この先も未来永劫ないだろう。
 だから俺は、その言葉で、さっさとこの話題を片付けることにした。
 判らなくても、理解できなくても、当たり前。
 相手は、異世界から来た守護人なのだから。
 その一言で済ませられる理由を押しのけてまで深く考えようとするほど、俺は少女に対して、格別の関心を抱いていなかったのだ。
「ふん……ま、そうかな」
 ハリスさんも、いつまでも守護人にこだわるつもりはないらしい。ちょっと面白くなさげに唇を歪めると、杯を呷って残りの酒を喉に流し込み、立ち上がった。
 思いついたように、ふっと唇の端を上げる。
「見た目は悪くないんだから、あれで殊勝に泣いたりでもすりゃ、可愛げがあるんだろうにねえ」
「想像もつかないですね」
 俺も少しだけ笑って、椅子から立ち上がる。食堂内ではまだ騒いでいる連中もいるが、俺はそろそろ眠気に襲われつつあった。そりゃそうだよな、このところ、行事続きの守護人の護衛で、ろくに休みも取れない。
 やれやれ、明日もまた、あのニコリともしない少女にくっついてなきゃいけないのか──と思いながら、ひとつ欠伸をした。


          ***


 諸々の公式の予定を一通りこなしてからは、守護人は神ノ宮の建物内をひたすら歩き回った。
 もちろん、それについての説明なんてものは、一切ない。彼女につく護衛官は一人ずつになったが、聞けば、ロウガさんがついている時も、ハリスさんがついている時も、同じようなことをしているのだという。
 ハリスさんは、「見学でもしてるんだろ。優雅なご身分で、羨ましいね」 と肩を竦めて言っていたが、どんな理由であろうと、俺たちは黙ってあとに従うしかない。街の男の子のような服装に身を包み、無言でただ足を動かす彼女の後ろを歩きながら、俺はひそかにため息を押し殺した。
 守護人の少女の腰には、銀色に輝く 「神獣の剣」 がぶら下がっている。
 どう見ても小さく細い身体には不釣り合いなその剣は、彼女がカイラック王に頭を下げて(・・・・・)、王ノ宮から借り受けたものだ。


 ──どうしても守りたいものがあるんです。でもそれは、わたしのこの小さな手だけでは、とても守りきれません。ですからどうか、神獣の剣を貸してください。


 お願いします、と真摯な声で懇願されて、最初は渋っていた王も、結局は神獣の剣を彼女の手に渡すことを了承した。
 そもそも、王は神獣よりも位が下であるから、「守護人の望むままに」 という神獣の後押しがあれば、守護人の求めに対して断ることなど出来はしない。守護人は、神獣以外に唯一、王に礼を取らなくても許される存在だ。その守護人がわざわざ頭を下げて丁寧に依頼の形をとったことが、王の機嫌を良くさせたのだろう。俺はずっと頭を下げていたから判らないけど、神獣の剣は、王自らの手で、守護人に差し出されたらしかった。
「そうまでして神獣を守りたいとは、さすが守護どの、見上げた心意気であることよ」
 少しばかり揶揄の混じった声で言われたその台詞は、持ち上げるというよりはかなり皮肉に近かったように聞こえたが、一拍黙った後で、「……ありがとうございます」 と返された少女の返事は、相変わらず静かで抑揚がなかった。
 まあ、王の気持ちも判らないではないけどな。たとえば神獣に災厄が降りかかったとして、その時近くにいるのが守護人だけだとしても、この子供のようなナリで何が出来るかと、鼻で笑いたくもなるだろう。
 ニーヴァ国の至宝とはいえ、持っているだけでは、それはただの飾りと一緒だ。剣には相応の扱い方というものがある。やたらと振り回せばいいってもんじゃないし、この筋肉もついていないようなか細い腕では、そもそも振り上げることすら難しそうだ。
 特に宝石などが嵌めこまれているわけではないのに、それだけで他を圧倒するような輝きを放つ、神獣の剣。子供のオモチャのように思われては、剣にとっても屈辱だろう。同じく剣を持つ者として、俺だってあんまり面白くはない。軽くて、薄くて、類を見ないほどの切れ味をもつというその剣には、敬意と羨望が抑えがたいのだから。
 果たして、どんな逸品なのか。
 一度でいいから(・・・・・・・)目の前で見てみたい(・・・・・・・・・)よなあ。

 そんなことを思った瞬間、くるりと少女に振り向かれた。

 出し抜けのその行動に、心臓が跳ねる。そのことに内心でちょっとだけ苛つき、俺はなんとかその感情を表に出さないように努めた。
 たまに、こういうことがあるのだ。
 まるで、こちらの心を読み取ったようなタイミングで、彼女は視線を向けてくる。それから何かを言うのかと思えばそんなことはなくて、黙ったまま、すぐにその目は逸らされる。行動の真意がまったく掴めず、そのたび、もやっとした感情が、俺の腹の下のほうで蠢くことになる。
 今も、少女は何かを言おうとしたように口を動かしかけたが、結局そこからはなんの言葉も発せられることなく、視線はすいっと俺から外れた。また顔を前に向け、歩みを再開させる。

 話しかける価値もない、ってことかね。

 俺もまた彼女のあとについて足を動かし、そんなことを思った。
 そうだとしても、慣れているから気にしたりはしない。身分が上の人間なんてのは、俺たちのような立場の人間を、そこらに生えている草程度にしか認識していないことが大半だ。いちいちそれに対してむかっ腹を立てていたんじゃ、神経がもたない。
 でも、それならそれで、いっそきっぱり存在を無視してくれればいいんだ。仕事は仕事、俺は護衛官としての職務を全うするだけ。どう思われようが関係ないとこちらも割り切れる。
 ……なのに。

 時々、彼女の瞳に、かすかな躊躇が浮かぶことがある。
 素っ気ない言動と、変わらない表情の上を、素早く通り過ぎていく、正体不明のものがある。
 それが、俺の中の何かを、少し苛立たせるのかもしれなかった。

 前を歩く彼女が、左右に分かれた廊下を、迷わず右に向かおうとしているのを見て、思わずため息を吐き出した。そちらは行き止まりだ。
「守護さま……」
 やむなく声をかけようとしたところで、左側の廊下の向こうから、誰かの怒鳴り声が響いてきた。
「なんだ! 何をしてる!」
「も、申し訳ございません……!」
 守護人と俺がそちらを振り向いたのは同時だったが、行動を起こすのは守護人のほうが早かった。すぐにぱっと踵を返し、今までと変わりない足取りながら、声のほうに向かってすたすたと歩いていく。
 俺もそのあとに従ったが、近づくにつれ、何が起こったかは一目瞭然で見て取れた。
 視線の先にいるのは、一人の侍女と、一人の神官だ。たぶん、侍女がどこかの部屋に運ぼうとしていた水差しを落としたのだろう、床には透明な水が流れるように広がっている。そこに神官が通りがかり、叱りつけている──と、そういう状況らしかった。
「この神ノ宮でなんという粗相をするか! これでは誰も通れないではないか! 見ろ、私の裾までが濡れてしまう!」
 何もそんなにも大量の水がぶちまけられているわけでもあるまいし、少し迂回して通れば、充分避けられるだろうに。
 そういうことをしなければならないのが屈辱なのか、それとも弱者はとことんいたぶってやらないと気が済まない性分なのか、神官の罵声は留まることを知らない。声が大きく激しくなるにつれて、ますます怒りが増していくらしく、口にしている内容も、聞くに堪えないようなものになってきた。
 お前のような粗忽者は今すぐこの神ノ宮から出て行け、その前に水差しを持つことも満足に出来ぬ不器用な手はいっそ切り落としてしまうがいい、とまで威嚇されて、侍女は真っ青になって震えている。
 ち、と俺は聞こえないようにわずかに舌打ちをした。
 神ノ宮では、こんなことは日常茶飯事でよく見られるものである。神官は神に仕えるのが役目とはいえ、実際にその心持ちが清廉だったり高潔だったりするかといえば、そんなことは滅多にない。上にはへつらい、下には尊大に振舞う。それが常だから、こんな場面だって見慣れている。
 しかしだからってもちろん、目の前のような光景は、まったく気持ちのいいものじゃない。俺のようなただの護衛官が間に入れるようなものでもないし、下手をするとますます問題がこじれるばかりなので、こういう時は見て見ぬふりをするしかないが、腸は煮えくり返る一方だ。実際に被害を蒙ったわけでもないのに、そこまでしつこく責めるようなことか。
 罵詈雑言を投げつけることに夢中の神官は、自分の背後から守護人の少女が近づいてくることに、ちっとも気づいていなかった。侍女は侍女で、ひたすら謝罪の言葉を繰り返し、身体を折り曲げるようにして頭を下げているので、その姿に気づかない。
 きっと、少女の存在に気づけば、神官はその怒声を収めるだろう、と俺は期待した。神獣の守護人は、この神ノ宮、そしてニーヴァ国の要人だ。その姿を目に入れれば、掌を返すように態度を変えて、恭しく頭を下げるはず──
 と思ったその時、「ええい、その顔、見ているだけで腹立たしい!」 と声を張り上げて、神官が手を振り上げた。
 大きく足を前へと踏み出す。
 ──殴られる。
 びくっと侍女が身を縮め、俺は思わず口を開いて制止の声を出しかけた。
 が。

「ぎゃっ!」

 悲鳴を上げたのは、侍女でも、俺でもなかった。びたんっ、という間の抜けた音を出して、前のめりに床に倒れた神官のものだった。
 足を踏み出そうとした瞬間、彼が着ている衣服の裾が後ろで引っかかって、つんのめるようにして顔から倒れたのである。勢いがついていた分、倒れ方も派手だった。衣服どころか顔までも、床に広がる水に濡れてぐっしょりだ。
「な──なんだ?!」
 情けない格好で腹這いになったまま顔だけを上げ、ものすごい形相で自分の背後を振り返った神官は、ぎょっとしたように目と口を開けた。
 そこに、神獣の守護人が立っているのを見たからだ。
 ……そして、その守護人の足が、堂々と自分の衣服の裾を踏んづけているところを。
「すみません、うっかりしました」
 少女はいつもとまるで変わらない表情でそう言った。言いきった。後ろにいた俺からは、彼女がよくよく狙い定めた上で、その裾めがけて一直線に、見慣れない異世界の靴を履いた足を振り下ろすところがはっきり見えていたが、それすらも錯覚だったかと思わずにはいられないほど、その顔には微塵も後ろめたさというものが存在していなかった。
「こ、これは、守護さま」
 今になって慌てたように神官は起き上がって礼を取ろうとしたが、それはあまり首尾よく出来なかった。いい加減、その足、どけたほうがいいんじゃないですか、と俺でさえ思う。
 少女はその黒々とした瞳でまっすぐ神官を見返して、わずかに首を傾けた。
「濡れちゃいましたね。風邪を引いたら大変なので、早く着替えたほうがいいと思いますよ」
 それ、濡らした本人が言うことじゃないよな。
「は、はい! そ、それではこれで」
 やっと裾を解放されて、神官は大急ぎで立ち上がると、侍女には目もくれずにささっとその場から逃げていった。
 その後ろ姿を見ながら、ほっとする。
 ……ま、侍女は大勢いるし、ほとんど頭を下げていたことが幸いして、もう顔も覚えていないだろう。どんなに悔しがろうと、ここにいる侍女を探し出し、あとで咎めることは出来ない。結果的に、無罪放免だ。
「あ……あの、守護さま、どうも、ありがとうございました……!」
 侍女は身を固くし、深く頭を下げて礼を言ったが、少女はそちらをちらっと見ただけだった。何も返事をせず、またさっさと歩きはじめてしまう。
「早いところ後始末しておきな、またあんなのに絡まれたら面倒だろ」
 俺はこっそりと侍女に耳打ちしてから、急いで少女のあとを追った。


 ──しばらくしてから、時計を取り出して確認し、声をかけた。
「守護さま、そろそろ最奥の間に」
 その言葉に、動かしていた足がぴたりと止まる。こちらを振り返った時、確かにくっきり真ん中に寄せられていた眉は、あっという間に元に戻って、いつもの無表情になった。
「はい」
 素直に応じて方向転換をする彼女に従いつつ、俺は内心で首を傾げる。今、かなり露骨に、「イヤだな」 って顔をしなかったか?
 はじめて見せたその普通の感情らしきものを、しかし瞬きほどの間に覆い隠してしまったことに違和感を覚える。
 ……隠す?
 感情がないわけじゃないのか。それを誰にも見せないように、巧妙に隠しているだけなのか。
 でも、なんのために?
 そして、そこまで徹底的に作っている壁を一瞬取り払ってしまうほど、どうして神獣と会うのを嫌がるのかも判らない。
 彼女のまっすぐ伸びた背中は何も語らない。
 俺は、その腰に帯びた、輝く剣に目をやった。
 あれは神獣を守るために持っているものだと──いや、それはカイラック王が言ったのだったか。そういえば、彼女自身は、一言も 「神獣」 の名は出してなかったんだっけ。

 どうしても守りたいものがある、と少女は言った。

 それは一体、何なのかな、と俺は思った。
 他人事のように、そう思った。


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