短編14

赤い糸、白い羽(2)




 一瞬、身体の動きと思考能力と心臓が、同時に停止した。
「……ナナナナンノコトデショウ」
「人形か」
 なんとか棒読みの言葉を喉から引きずり出した私に、むっつりしたイケメンさんから容赦のないツッコミが入る。怖い。なまじ整っていると、普通の顔の仏頂面よりも数倍怖い。
「あれ何? 手品? 魔法? 超能力?」
 イケメンさんは動揺しまくる私に構わず、矢継ぎ早に追及をしてきた。手品はともかく、魔法ってなに。顔にそぐわない台詞はあまり冗談で言っているとも思えなくて、私はたじたじと後ずさった。
「ま、まさかそんな。えーとあの、め、目の錯覚では」
「そんなことないよ。俺ちゃんと見たもん。あんたがじっと見てたら、ガキのスマホが勝手に動いて、ポケットから転がり落ちた」
 普通、常識では考えられないことが目の前で起きたら、人は自分の知覚や認識のほうを疑うものだが、ここにいるイケメンさんは不条理なほどに自信満々だった。顔がいいと、そういう性格になるものなのだろうか。
「わ、私は知りません! それでは失礼します!」
 ここはもう逃げるしかない。この人とはどうせ通りすがりの関係でしかないのだし、しらばっくれたまま押し通してしまおう。二度と会うこともなければ、きっとあの妙な出来事もすぐに彼の頭の中から消えるはず。
 と思って早足で脇を通り過ぎようとした私のバッグを、イケメンさんが素早く手を伸ばして 「まだ話は終わってないんだけど」 と掴んだ。きゃああああ! 誰か助けて!
「あ、そーか。もしかして、あんたが変な力を持ってるの、他人には秘密なの?」
 ここで彼は、思いついたように声を上げた。だからどうして変な力を持ってるって決めつけてるんですか! 持ってるけど! そして実際秘密にしてるけど!
「じゃあ俺は、その秘密を知ってしまった人間、ってことか。ふーん」
 考えるように顎を撫でている。イケメンはそんな仕草でさえやけに似合っているが、今はそれどころじゃない。早くこの場から逃げたくてジタバタと暴れたが、バッグを掴んだ手はびくとも動かなかった。
「とすると、これはあのパターンだな。……『黙っててやるから、俺の言うことを聞け』」
 きゃあああああーーー!!
「わっ、私、お金はあまり持っていません!」
「金はいらない」
「カラダだけの関係というのもちょっと!」
「誰がそんなことを」
 イケメンさんは私の言葉に、むっとしたように眉を寄せた。だって、秘密を握った相手が要求してくるものといえば、大体その二つくらいしかないではないか、映画でも、ドラマでも。そりゃまあ、その二つのどちらも、私が持っているのは貧相なものですが。
「少し、俺に付き合ってくれない?」
 くいっと顎でしゃくられて、私はさあっと青くなった。
「ど、どこに連れて行くんですか。ささささては、変な写真を撮ったり、怪しげなDVDに出演させたり、風俗の店に売り飛ばしたり……」
「あのね」
 イケメンさんは、私の顔を見て、疲れたようにはあーっと大きく息を吐いた。
「その妄想は一体どこから湧いてくるわけ? 言っておくけど、俺、ごく普通の会社員だから。ああ、うん、言い方が悪かった。ほんの一時間か二時間くらい、俺の話を聞いてよ」
「は……話、って?」
 キャッチセールスか。なにを売りつける気? 化粧品? 布団? 浄水器?
 高額商品を現金で払う余裕はありません。ローンならなんとか。
「違う。なに想像してるか知らないけど、違う」
「だだだ、だって」
「ちょうど、愚痴を聞いてくれる相手が欲しかったんだ」
「ぐ、愚痴?」
 思ってもいなかった方向に進んでいく話に、私は混乱するばかりだ。目を瞬いてイケメンさんを見返すと、こっくりと頷かれた。
 とりあえず、ヤクザな事務所に拉致されて変な書類に判を押せと強要される、ということにはならなさそうなので、少しだけ態勢を立て直す。
「……えーと、愚痴っていうと、あの、お仕事のこととかの?」
 まあ、私も会社員だから、そのテのことでいろいろと鬱屈や憤懣が溜まることがあるというのは理解できる。一人暮らしだとそんな時、吐き出す相手がいなくて、延々ヌイグルミ相手にぶつくさ文句を言ってしまったりした経験もある。この人も、誰でもいいからそうやってぶちまけてしまいたい気分なのだろうか。
 イケメンさんは、哀愁漂う表情で、また深くため息をついた。暗がりの中、街灯に浮かび上がるその顔は、くっきりとした陰影がついて、まるで映画の一シーンのように決まっている。
「……フラれたんだ……」
 悄然と肩を落としてボソッと呟かれ、わあー……と私は泣きたくなった。

 ものすごく、関わりたくない……


          ***


 来た道をUターンして、連れて行かれたのは、駅近くにある居酒屋だった。
 会社帰りのサラリーマンや、学生たちで賑わうその店で、イケメンさんが注文したのはウーロン茶だ。なぜウーロン茶? と聞くと、下戸のため酒は一滴も飲めない、と言う。じゃあどうして居酒屋なのかと聞けば、女にフラれてくだを巻くのはバーか居酒屋だと相場が決まっている、と、これまた真顔で言う。
 どっちに行こうかと迷っていたのだが、知らないバーに一人で行くのは怖いし、居酒屋で一人きりジュースを頼むのも間が抜けている。どうしようかなと思っていたところに捕まったのが私だった、というわけだ。あんたちょうどいいところにいたよ、と彼はウーロン茶をぐいぐい飲みながら、しみじみ言った。
 イケメンさんは、ちょっとアホな人だった。


「……それでさあ、いきなり、『好きな人が出来たから別れましょう』 って、こうだよ、こう。ひどいだろ。冷たいと思わない? 俺、なんの心の準備もしてなくてさ、今日だって普通のデートのつもりで、彼女の好きそうなシャレたイタリアンの店とか、必死で調べて行ったのにさ……」
 加納と名乗ったイケメンさんは、飲んでいるのはウーロン茶であるにも関わらず、ほとんど酔っ払いと変わらないノリでぐすぐずと愚痴り続けた。素面なのに目が据わっていて、ある意味、本物の酔っ払いよりも始末が悪い。
 しょうがないので、私はカンパリオレンジを飲みながら、それをうんうんと聞いてあげた。今日失恋が決定的になった私が、まったく知らない人の失恋話を聞いているのも、なんだかおかしな話ではある。いや、おかしいといえば、この加納さんがそもそもちょっとおかしいのだが。
 聞けば、彼女とは、友人の紹介で知り合い、付き合うようになって三カ月ほど経ったところだったという。普通なら、今がいちばん楽しい時期、くらいだろう。というか加納さんのほうは今日のデートだって十分楽しみにして浮かれていたのに、そこで突然別れ話を切り出されたのだそうだ。
「それは、ショックだったでしょうね」
「ショックなんてもんじゃないよ。茫然自失だよ。あまりにも衝撃が大きすぎてさ、その好きな人ってのがどこの誰かってことも聞かずに、店を出ちゃったよ。イタリアンの料理だって、まだほとんど食ってなかったのに」
 それでお腹が減っているのか、加納さんはさっきから、テーブルの上の唐揚げやポテトフライやお刺身や豆腐サラダを、片っ端からもりもりと平らげている。大口を開けてポイポイと食べ物を放り込んでいく様は、イケメンなのにまったく気取ったところがない。一緒にいるのが私みたいな道で拾ったどうでもいい相手だから、余計に気にしないのだろうけど。
「怒らなかったんですか」
「その時はそこまで感情がついていかなくてさ。店を出て、歩いて、地下鉄に乗って揺られているうちに、だんだん腹が立ってきた」
「はあ、なるほど」
 そういうものかもね、と納得しながら頷いて、ん? と気づいた。
「じゃあもしかして、地下鉄で、あの男の子に投げつけた怒涛のような罵詈雑言は」
「たった今フラれたばかりの俺の前で、無神経にイチャつくバカップルへの八つ当たり」
 フッと自嘲気味に笑う加納さんの顔は、店のバイト店員の女の子が顔を赤らめるくらい愁いを帯びている。しかし言っている内容は、非常にバカバカしい。
「……私の 『ありがとう』 を返してください」
「だから、礼を言われるようなことじゃない、と言っただろ」
「礼を言われることじゃないも何も、超自分勝手な理由じゃないですか」
「だってムカついたんだからしょうがない。この世のカップルはすべて滅べばいい。あー、俺、明日からどうやって生きていこう……」
 テーブルに顔を突っ伏し、後ろ向きなことをぐちぐちと言う。なぜこんな話を聞いているのかという疑問はとりあえず棚に上げ、私はまあまあと慰めた。
「加納さんくらいイケメンなら、すぐに新しい彼女が見つかるでしょう」
 今ひとつ、私が彼に同情しきれない理由もそこにある。顔のいい男の人がみんながみんな、女性をとっかえひっかえして遊んでいる、という偏見があるわけではないが、しかし放っておいても女性が寄ってきそうな容貌をした人には、同じく失恋した私だって今ひとつ感情移入しにくい。
「ふん」
 加納さんは、突っ伏した顔からやさぐれた目だけを上げて、私をじろりと睨みつけた。絡み酒ですか。手に持っているグラスに入っているのはウーロン茶なのに。
「イケメンイケメンて簡単に言うけどな、顔がいい、っつーのは苦労もあるんだぞ」
「そうでしょうとも。たくさんの女性に言い寄られたりねえ」
 ポテトをつまんで、私は適当に答えた。あんまり食べると太るかな。でも、結婚報告とノロケ話を聞きながらの食事は、正直言って、なんの味もしなかった。
「違う!」
 加納さんは、ウーロン茶の入ったグラスをだんっとテーブルに置き、断固とした口調で言った。
「たとえばだ、彼女が欲しいな、と思って合コンに参加するだろ。するとその場で、女の子たちはまず顔を見て、わらわらと俺に寄ってくる」
「でしょうねえー」
「真面目に聞け。それで寄ってきて、顔を眺めておしまい、ってわけにはいかないよな。当然、話をする。まずなんて言う?」
「えーと、『こんにちはー』 かな」
「こんにちは」
「『お酒、飲んでますー?』」
「酒はまったく飲めません」
「『真面目なんですねー。スポーツとかはされるんですかー?』」
「どっちかというと運動は苦手です。サッカーやバスケにも興味ありません。スキーは寒いから嫌いです」
「えー……『休日は、何をされてるんですかー?』」
「特に何も。プロ野球中継を見て時間を潰したりしてます」
「…………『じゃあ、趣味はなんですか』」
「読書、プラモ作り、ゲームですかね」
「………………『好きな女の子のタイプ、とかは』」
「好きになった人がタイプです。……って!」
 つまみの枝豆がぴょんと飛んで、加納さんの頬に当たった。わざとではないのだが、つい。
「真面目にやりましょうよ」
 こんなアホらしい三文芝居をしている私が可哀想。
「俺はこれ以上なく真面目だっつーの! 今、枝豆が勝手に飛んできたぞ! やっぱりあんた、変な力があるんじゃないか!」
 加納さんはぶうぶう怒りながら、飛んだ枝豆を拾って口に入れた。
「……こんな調子でだな、最初、奪い合うようにして俺の隣の席に座った女の子は、話しているうちにどんどん目の輝きを失って、あー…という顔になり、そのうち他の男の隣に移動していくわけだ」
「ははあ……」
「女っていうのは、なんでああ、『イケメンはスポーツ万能でセンスもあって話題が豊富で気が利いて女の子にも優しい』 って幻想を抱いてんのかね。大体俺は技術畑の人間で、高校の頃から周りは男ばっかり、女の子にはそうそう免疫なんてないんだよ」
「うーん……」
「結局、『いくら顔が良くても中身が冴えなさ過ぎ』 とか言われて、『顔は普通だけど趣味はサーフィン』 の友達のほうに、女の子たちをみんな掻っ攫われる」
「うううーん……」
 私は困ってしまった。
 なるほどねえ。別に加納さんの何が悪いというわけではないのだろうけど、なまじ顔が良いために、女の子が向ける期待値が高くなりすぎてしまう、ということか。いそいそと寄ってきた女の子たちが、残念、という表情になって去っていくのを見るのは、やっぱりしんどいものがあるかもしれない。
「せめてもうちょっと返答に色を付けてみては?」
「ウソついて、偽りの姿を好きになってもらってもしょうがないだろ」
「うーん、そうか」
 それは確かにもっともだ。加納さんは、いろいろとおかしなところはあるが、真っ当な考え方を持った人でもあるらしい。
「けど彼女はさ、俺のそういうところも含めて、好きだって言ってくれてたんだよ。自分を飾らないところがカッコイイ、ってさ。だから俺も、この子とならうまくやれるかなと思ってさ。なのに……」
 またぶくぶくと落ち込みの沼に沈没していってしまった。彼の周囲は、まるで暗黒のオーラが包み込んでいるかのように陰々滅々としている。
「…………」
 さすがに気の毒になってきたな。でも私だって、長いこと片思いをずるずると引きずってきたくらいだからそんなに経験があるわけでもないし、こんな時、何をどう言えば元気づけられるのか判らない。
 ふと、思った。
 ……じゃあ、言葉以外のもので、試してみようか。
「え、と」
 きょろきょろと周りを見回す。さっきまでこちらを注目していたバイト店員はいなくなったし、他のお客さんはそれぞれ自分たちのお酒とお喋りに夢中だ。店の隅の席に座る私たちに目をやるような人はいない。これならいいかな。
「こんなのは、どうでしょう」
 言って、皿に残ったフライドポテトをじっと見据える。眉間に皺を寄せて集中した。

 ぴょん、とポテトが一本立った。
 続いてもう一本、ポテトが立った。
 三本目のポテトも起立して、整列した。
 ぴょん、ぴょん、ぴょん。

 加納さんは、目を丸くしてそれを見た。
 そして、ぶぶーっと噴き出した。
「ははっ、なんだこりゃ。すごいな、この芸」
「芸というわけでは」
 ふう、と息をついて力を抜くと、ポテトもパタパタパタと力尽きたように倒れた。加納さんが手を叩いてウケる。
「なにそれ。やっぱり超能力ってやつ?」
「よくわからないんです。超能力というには小さすぎるし、役にも立たないし」
 私は加納さんに、自分の能力のことを説明した。ペンなどの軽いものしか動かせないこと。場合によっては手を使って動かすよりも疲れること。時々自分の意志とは別に出てしまうこともあるが、誰にも気づかれないこと。
 加納さんは 「意味ねえー」 と大笑いした。
「そうか。結局あれだな、あんたのその力ってやつもさ、俺の顔と一緒ってことだな」
 うんうんと頷く。
「一緒ですか?」
「生まれつきのもので、一生付き合っていかなきゃどうしようもないけど、時々ジャマなこともある。人生の余分な付録みたいなもんだ」
「えー」
 そうかなあ。顔がいいっていうのは、大変なことはあっても、得なことだって多いような気がするけどなあ。
 カンパリオレンジの入ったグラスを揺らし、少し考えてから、私はぽつりと言った。
「……どうせなら、もうちょっと別の力があればよかったなあ、って思うんです」
「別の力って?」
「──赤い糸が見える力、とか」
 あ、思いっきり噴き出された。そこまで笑わなくてもいいんじゃないかな。自分で言っておいて、すごく恥ずかしくなる。
「えらく乙女な発言だな」
「顔に似合わず、と言いたいんでしょう」
「なんでそんな自虐的なんだよ。あんた可愛いだろう。あのバカなガキの言ったことなんて、気にしなくていいぞ」
 さらりと言われて、頬が熱くなった。こういうところ、もっと判りやすく外に出せば、加納さんは普通にモテると思うのにな。
「でも赤い糸が見えたら、簡単でいいじゃないですか。誰かを好きになっても、ああ、この人とは糸が繋がってないってわかって、すぐに諦めもつくし」
「つーか、繋がってるのがすぐにわかっちゃったらつまんない……ああそうか」
 加納さんは、ウーロン茶を飲んでいた手を止めて、私の顔を正面から見た。
「あんたも失恋したんだろ」
 言葉がぐさりと突き刺さる。あの、やめてください、「同志よ」 っていう生温かい目で見るの……
「俺は、あんたの力はそれで悪くないと思うよ。だって面白いじゃん。酒を飲みながら楽しむのにちょうどいい」
 加納さんが飲んでるのはお酒じゃないですけどね。
「そうでしょうか」
「そうだって」
 そう言って、加納さんはまた軽く笑った。
「……そうかなあ」
 その笑い声を聞きながら、小さく呟いて、グラスの中のオレンジ色の液体に目を落とす。その中でゆらゆらと浮いている氷に映る顔は、ちょっと歪んで、ちょっと滑稽で、ちょっと安心しているようだった。
 うん、少しは誰かの気晴らしになることが出来たのなら、この力でよかったのかな。
 私自身も、笑うことが出来ているんだから、これでよかったのかな……


          ***


 居酒屋を出ると、加納さんはちゃんと、私のアパートの近くまで送ってくれた。彼の住むアパートは、もう少し駅寄りだが、この近くにあるという。
 別れ際、「番号を交換しておかないか」 とスマホを取り出され、ちょっと戸惑った。
「別に下心とかないから。フラれた者同士、時々お互いの傷を舐め合おう。自分と同じように不幸なやつがいると思うと、なんとなく元気になる」
 なんかいやだな、そんな友達。
「……でも、あの」
 自分のスマホに手を伸ばしかけて躊躇し、口ごもる。
「ん?」
「あの、けど、後で、気持ち悪くなるかもしれませんよ。私みたいに、変な力を持ってる人間と関わりを持つの」
 一回きりの、通りすがりの関係だと思ったからこそ、私も自分の力のことを打ち明けたのだ。今は驚いているだけでも、時間が経つにつれて、気味が悪いと思うようになるかもしれない。人は、思いがけない事態に遭遇すると、その時は思考が上手に働かなくても、後から次第に別の感情が湧いてくるものだ。
 加納さん自身、それはイヤというほど知っているのではないだろうか。
「……あんたね」
 私の言葉に、加納さんはまた呆れたように大きなため息をついた。
「そのいちいち自虐的な考え方はどうかと思うよ。ま、俺が言うのも説得力ないけどさ。そんなあるかもどうかもわかんないよーな、ちっさい能力を、なんで怖がらないといけないわけ」
「ネットに動画を乗せたり、週刊誌に売ったりもしません?」
「誰がそんなもん信じるんだよ。大体、ペンが倒れるくらいの動画を見て、驚くやつがいると思うか?」
「う……確かに」
「それに、それは俺への侮辱でもある」
「──申し訳ありません」
 深々と頭を下げて謝ると、加納さんは目を細め、
「でも今日は、そのちっさい力も、けっこう役に立ったよな」
 と、言った。



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